黄金の島・ジパング５時間目：「神国」日本

　さて今日は、ヨーロッパ人が日本に来てからどのような事が起きたかを学習してみよう。まず、復習。

１５４３年て何があった年？。　「鉄砲が来た年？」　来た？　「あっ、持ってきた！」　そう。誰が？「スペイン！」「ポルトガル！」　どっちが正解？

「ポルトガル！！」　そう。ポルトガル人が日本にはじめて鉄砲をもたらしたと言われている年だね。じゃあ、１５４９年は？

「キリスト教が伝えられた年！！」　うん。誰が伝えたの？　「ザビエル！」「フランシスコ・ザビエル！！」　そうだね。

これって何時代だっけ？　（考え込んでいる）　年表で調べてご覧！　「戦国時代」「室町時代」「違うよ戦国時代！」

どちらも正解だね。戦国時代は室町時代の後半を言うんだから。ところで戦国時代という名はなんでつけられたの？　「戦争が多い時代だから」

そうだね。じゃあ、誰と誰とが戦争していたの？　「戦国大名同士！！」　そう、そのとおり。でもそれだけじゃないよ。「天皇！」「天皇は戦争しないよ」

「どうして？」「領地をとられて家もボロボロだったって言うじゃないか」「あっそうか」　じゃあ、誰？（考え込んでいる）

ほらこの時代自分の暮らしを守るために守護大名や戦国大名とたたかって、それを追い出したりした人たちがいたじゃないか。

「そうだっ！　土一揆」　そう土一揆。土一揆って誰がやったの？　「土民」　土民って？　「農民とか商人」　そうだね。戦国大名同士の闘いと戦国大

名と土一揆との闘いなど戦争が絶えない時代が戦国時代だったんだ。

　じゃあその戦国時代を終わらせ日本を統一したのは誰だっけ？　「秀吉！」「豊臣秀吉！」　そうだね。でも彼は大部分統一を進めた彼の主人のあ

とを引き継いだだけ。秀吉の主人て誰？　「信長！」「織田信長だ！！」　そうだね。

　そこで問題。日本を統一した信長・秀吉の強さの秘密はなんだろう？

「えっ！！わかんないよ」「なんだろう？」「なんだっけ？」「そんなのやったか？」（おおいに戸惑っている・・・・・）

「もしかしたら鉄砲？」　鉄砲をどうしたの？　「鉄砲を大量につかった？」　どんなふうに？「あっ　３段撃ち！！」「なにそれ？」「鉄砲隊を３つに別け

て繰り返し鉄砲を撃ったんだって」「へえー良く知っているね」そう。鉄砲もその強さの秘密の一つだ。（資料�Dを配る）

　これが武田軍を打ち破った長篠の合戦の信長の陣地。３重の堀と分厚い土塀に守られた3000丁の鉄砲隊。一人の射手に３人の弾込め係りがつ

いて４丁の鉄砲を次々に撃つ。いくら鉄砲や矢を撃っても信長軍の鉄砲隊は土塀に守られ無傷。堀に阻まれて動けない武田軍に約700丁の鉄砲が

一斉に火を吹き次から次へと撃ちかけてくる。その上武田軍は13000人を一度に突撃させないで500とか1000とかづつ突撃させるので、次から次へ

と戦死。８時間もこの戦闘が続き、武田軍の大部分が戦死したという闘いだ。

「すごいやりかただね」　そう。すごい。これはヨーロッパの戦争のやり方を真似たものだと言われている。さらに信長･秀吉の強さは鉄砲を上手に使

っただけではない。資料�Dのうらを見てご覧。

　日本国内の鉄砲の産地はこの３箇所しかなかった。ここは誰の領地？　「ぜんぶ信長の領地！」そう。信長の領地。最初はそうじゃあなかったの

だけど、最後は秀吉の時代になって全部彼の領地になったんだ。ということは秀吉に敵対する大名が鉄砲を手に入れようとすると、秀吉はどうす

る？。「売らせない」　どうして？　「敵が強くなるから」　そうだね。じゃあその大名はどうやって鉄砲を手に入れる？

　「鉄砲を作れる人を自分の領地に連れてきて作らせる」　何処から連れてくるの？　「国友！」「堺！」「根来！」　じゃあ秀吉はどうする？「連れて行

かせない」　そうだね。だから国産の鉄砲を手に入れることは難しくなるわけだ。じゃあ鉄砲は手に入らないのだろうか。他に方法はない？

「ある。外国から買えば良い」　その通りだね。

　信長・秀吉の強さの秘密の一つは国産の鉄砲を独り占めした事にもあると言われている。それ以外にも彼らのもともとの領地の尾張は家康の領

地の三河と並んで、綿花の日本唯一の産地だった。だから彼らの兵隊は冬でも暖かい服を着て戦争できたが、他の大名の兵隊は綿の服を着れな

かった。そして信長・秀吉の領地は商工業の発展したところだったので彼らにはお金はたくさんあった。そのお金で兵隊を雇ったので一年中戦争が

出来たと言う強みもあったんだ。他の大名は農民を兵隊として連れていったから農業の忙しくない時しか戦争が出来なかったと言う。

「へー、面白いね」「ようするに豊かな土地を領地に持っていたということだね」そうだね。

　ところでその秀吉が全国を統一する途中で、九州の長崎に立ち寄ったとき、次のような命令を出したんだ（資料�E「長崎の没収」を配布）

　つまり、これまで許してきたキリスト教をいきなり禁止し、従わない宣教師や信者をはりつけにしたばかりではなく、イエズス会の領地となっていた

長崎を没収して秀吉のものにしたんだ。

「なぜ急に態度を変えたの？」　そう。そこが問題だね。では、皆で考えてみよう。秀吉はなぜ長崎を没収しキリスト教を禁止したのか。

「うーん。わかんないな」「質問！長崎がイエズス会というキリスト教の団体のものである事がいけないのかな？」　そうかもね。じゃあなぜ長崎がキリ

スト教会のものじゃいけないの？　「うーん。よくわかんない」

「質問！　長崎にポルトガル船が来る事が問題なのかな？」　なるほど。で、どうしてそれが問題なの？　「ポルトガル船て何しにきたの？」「貿易にき

まってるだろ？」「何を売りにきたの？」「鉄砲にきまってるだろ？・・あっそうか。わかった！！」「何がわかったの」「秀吉は国産の鉄砲を独り占めし

てたんだよな。でも長崎にポルトガル人がきて鉄砲を大名に売ると秀吉は困る」「何で困るのさ」「困るに決まってるだろ！」「あっそうか！」

「ねえ、それとキリスト教の禁止って関係あるの？」「あるに決まってるだろ！」「どうして？」「アメリカやアフリカの事思い出してみろよ」「えっヨーロッ

パ人がアメリカやアフリカに来たときのこと？・・・あっわかった！！！」（生徒たちは勝手に討論して答えを出して行く・・・・）

　じゃあみんなの意見を聞こう。

「キリスト教が広がると外国とつながって貿易して鉄砲を手に入れるやつが増えると困るから」

「長崎にポルトガル人が来て鉄砲を大名たちに売ると、秀吉に反抗するやつが出てくるから」「そんなのつぶせばいいじゃん」

「秀吉と大名たちがけんかしているところにスペインやポルトガルが軍隊を出して日本を征服しようとしたら大変だよ」「なるほど。でもさ、長崎だけ禁

止してもしょうがないよ」「なんで」「他の所で貿易ぐらいいくらでも出来るじゃないか」「あっそうか・・・じゃあ・・・」

　答えがだいたい出てきたみたいだね。ちょっとまとめておこう。

　こんな理由で秀吉は長崎を没収しキリスト教を禁止したんだろうね。そしてキリスト教を禁止する表向きの理由が「日本は神国だからほかの宗教

はいらない」だったんだ。「神国って？」「神様の子孫である天皇を頭にいただく国ということだよ」「へーえ」

　ところでこの長崎の没収とキリスト教の禁止で日本が植民地になる危険は取り除かれたかな。

「貿易は何処でも出来るから危険はある」なるほど。「キリスト教だって何処の港からでも入って来れるから禁止しただけじゃ信者はいなくならない」

そうだね。他には？。「だから鉄砲を手に入れて秀吉に反抗する大名がでて、そこにポルトガルやスペインが攻めてくる」

なるほど。じゃあ、秀吉のやった事だけでは日本のヨーロッパの植民地にさせないのには不充分だと言うわけだ。じゃあ、君たちが秀吉だったらどう

する。賢い秀吉のことだからわかったいたはず。秀吉だったらどうしただろう。次の時間はここを考えて討論してみよう。

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