泣く子と地頭・・・関連書籍集
書名 後白河法皇
著者名 棚橋光男
出版社・出版年 講談社(選書メチエ)・1995年
内容・目次  解説―故棚橋光男の人と仕事
 プロローグ
 第1章 後白河論序説
   はじめに
   1.悪左府頼長―偏執と狂気
   2.少納言入道信西―黒衣の宰相の書斎を覗く
   3.法皇後白河―梁塵秘抄・蓮華王院宝蔵・流転の「皇居」
   補論《「人格的紐帯=”縁”のネットワーク」の科学》
 第2章 後白河王権期の都市京都―『方丈記』に見るイメージ
   1.火宅都市
   2.方丈の庵
   3.安元の大火
   4.養和の大飢饉
   補章 後白河の新制と都市法
 第3章 中世国家の成立
   1.三つの段階
   2.職と職の体系
   3.中世国家の成立
   4.平氏の台頭
   5.鎌倉幕府の成立
 第4章 『参天台五台山記』―日宋交流史の一断面
   はじめに
   1.成尋の家系
   2.日宋の交通ネットワーク
   3.東アジアの知的交流世界
 あとがき
解説  本書は1994年末に亡くなった棚橋光男の遺稿集である。
 中心は後白河法皇期の王権を「危機の王権」ととらえ、その特徴と可能性を探った「後白河論序説」。
 職の体系という古代末期の王朝国家の体制が崩れるとともに天皇という職そのものが相対化し、王統の分裂と対立という状況(後の大覚寺統・持明院統の並立の状況―南北朝の対立―の先駆けてきな状況)の中で、自己の直系王統の確立に腐心した帝王後白河。彼は王権の危機の中で傀儡子(くぐつ)や遊女などとの化外の民との人格的結びつきや梁塵秘抄の編纂や絵巻物の編纂を通じて、「都市と文化」の帝王へと王権を変化させようとした。
 後醍醐天皇や江戸初期の天皇のありかたを先取りしたような後白河の姿を描き、「危機の時代の王権」の苦悩の様を描いた所が新鮮。
値段 1500円

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