パンドラの箱は開かれた!A 3人寄れば文殊の智恵A
教師:今日は前の時間の続きだ。この前の時間は「動物は何のために群れをつくるのか」と言う問いを、ライオンとガゼルを参考に考えたわけだ。ち
ょっと復習しておこう。ライオンは5・6頭の群れを作るわけだけど、その理由はなんだっけ?。
生徒:「足が遅いんで狩がへただから、皆で協力して狩をするため」
教師:どんな方法で狩をするんだっけ?。
生徒:「分担する!」「待ち伏せ!」「姿を見せるやつと、隠れているやつとに分かれて、隠れたところに追いこむ!!」
教師:そうだったね。足の遅いライオンが獲物をえるために協力したんだ。じゃあ、もっと数の多い2・300頭以上の群れを組むガゼルはなんのため
に群れを組むんだっけ?。
生徒:「群れを組んだ方が殺される可能性が小さいから!」「見張りを置いたりしてライオンが来るのに備え、リーダーの指示で逃げたりする!」
教師:そうだね。ライオンなどの肉食獣に襲われないように集団で守っているわけだね。では、人間の場合はどうか、というのが今日の問題だ。人間
の群れはライオンやガゼルの群れに比べてとても大きいね。
生徒:「1万人!」「大きいのは14億人!」「日本は1億とちょっとだよ!」
教師:うん。そんなに大きな「国家」と言う群れを作っているんだね。じゃあ「人はなんのために国家と言う巨大な群れをつくったのか」を今日は考えて
みよう。みんな自分の意見をノートに書いてあるかな?。まだの人は少し時間をあげるからきちんと書いておこう。
(5分ほど時間を与える)
教師:じゃあ、班の座席に移動して、それぞれの意見を発表して、班としての意見をまとめてみよう。制限時間は10分間。では始め!!。
(班での討論の時間・こちらは机間巡視をし、討論の様子をみながら質問に答えたり、討論が進まない班にはアドバイスしたりする)
生徒:「先生!質問!!」
教師:なんですか?。
生徒:群れを作るってことは何かを協力するってことですよね」
教師:そうだね。そしてその何かを協力するのは何のためだと言う事が大事です。
生徒:「上手く班の意見がまとまりません。対立しちゃってどうしようもない」
教師:無理にまとめなくていいですよ。対立する意見は対立としてそのまま発表してください。
(10分強激しいやり取りが続く。やがてほとんどの班が意見がまとまって行く)
教師:では各班発表してください。まず1班から。
生徒:「はい。1班ではいろんな意見がでましたが、協力して子孫を残し、自分たちの暮らしを豊かにしていくため、にまとまりました。」
教師:ありがとう。では次に2班、お願いします。
生徒:「はい。2班では、生活を良くするためにいろんな分担をして協力するため、にまとまりました。」
教師:いろんな分担って例えばどんな事ですか?。
生徒:「例えば仕事です。食べ物を作る人・運ぶ人・売る人、それからいろいろの機械を作る人など、いろんな仕事を分担する事で、自分たちの生
活が良くなります。」
教師:なるほど。仕事の分担ですか。ありがとう。次は3班お願いします。
生徒:「3班は、いろんな意見がでてきてまとまりませんでした。子孫をふやすため。いろんな食べ物を手に入れるため。敵から守るため。生活
を良くするため、などです。」
教師:はい。ありがとう。では次に4班お願いします。
生徒:「4班では教科書を読んでみました。そしたら大きな国がいきなり出来たのではなく最初に作物を作ったりかんがい工事や畑を広げたり、それ
からほかの村との争いが出てきて小さな国ができたとありました。だからかんがい工事をしたり畑を広げたり他の村と戦ったりするのに有
利だからだんだんと大きな国を作ったんだと思います。」
教師:すごいね。教科書をよんで国ができるまでの歴史を考え、国を作った目的を説明してくれたね。では5班。
生徒:「はい。5班ではいろんな意見が出ました。他の班と同じ意見もありましたが、まだ出ていないのは、災害などの時に皆で協力すれば被害を
少なく出来るというのがあります。」
教師:面白い意見だ。具体的に言うと?。
生徒:「北海道の有珠山の爆発なんかは、火山の専門家がいていつも観測していて噴火を予知しました。おかげで住んでいた人たちが噴火の前に
逃げる事が出来たし、政府やいろんな役所の人が対策を考え避難所をつくったりしています。こんなふうに災害のときに助け合う事ができま
す。」
教師:なるほど。そうですね。人間の力ではかなわない自然の災害にも皆の力をあわせればなんとかなるということですね。では最後に6班。
生徒:「はい。ほとんど言われてしまいましたが、6班では生活を楽にするためにいろいろな工夫をするためというのが皆の意見です。」
教師:いろいろな工夫とありますがどんな工夫ですか。
生徒:「たとえば、いろんな道具を作るとか、いろんな発見とかをするとか、生活をらくにするためのことです。」
教師:なるほど。たとえば生活を楽にする発見とはなんですか?。
生徒:「うーんと、病気をなおす薬をつくるために病気の原因を発見するとか、そういうことです。」
教師:なるほど。医学なんか大変発達していろんな病気が治るようになりましたね。
○板書事項 ・協力して子孫を残し、自分たちの暮らしを良くしていくため。 ・いろいろな仕事を分担し、生活を良くするため。 ・いろいろな食べ物を手に入れるため。敵から守るため。 ・かんがい工事をしたり畑を広げたり、他の村と戦ったりするために有利だから大きな国を作った。 ・災害などの時に被害を少なくするため(専門家がいる)。 ・いろんな道具を作ったり、薬や病気の原因を発見して、生活を楽にするため。 |
教師:こうやって皆の意見をまとめてみると、自分たちの生活を楽に豊かにするために、いろいろなものをつくるために役割分担しているというかん
じですね。では最後にこれらの意見を参考にしてもう一度自分の意見をまとめてみましょう。
(各自で自分の意見をノートにまとめる。5・6分時間を与える)
教師:では何人か発表してもらいましょう。では○○さん。
生徒:「はい。人間はとっても弱い生き物だから一人だと他の動物に負けて食べられてしまうけど、国という大きな群れを作る事で、いろんな道具を
作ったり、川から水を引いたりして作物を作ったりして、他の動物にはできないことをして生活を豊かにしたと考えました。」
教師:はい。ありがとう。人間は弱い生き物だけど、国を作る事で他の動物には出来ない事をしたと言うところが大事だね。じゃあ次に○○くん。
生徒:「はい。人間はライオンみたいに牙はないしガゼルみたいに足は速くはないけど、国をつくっていろんな発明をして、ライオンにも負けないライ
フルやガゼルより早い自動車をつくって、生活を楽にしたんだと思います。」
教師:なるほどね。道具で他の動物に負けないようになったというわけだ。では最後に△△さん。
生徒:「はい。私は、人間一人の力じゃ小さいし弱いけど、たくさんの人が国を作ってまとまる事で、一人では出来合い大きなものを作ることが出来、
それで生活を豊かにしたんだと思います。たとえば畑をつくったり、川から水を引いたりしたことです。」
教師:なるほど。たくさんの人が協力することで大きなものをつくって生活を豊かにしたというところが大事だね。では今日の授業はこれでおしまい。
次はいよいよ歴史を具体的に見てみよう。国ができたころを文明と言います。そのころの様子を見てみたいと思います。