パンドラの箱は開かれた!E まとめ


教師:さて今日は、『パンドラの箱は開かれた』の意味を考えながら、今までの学習のまとめをしたいと思う。この言葉の意味を誰かわかるかな?。

生徒:「はい。たしかその箱を開けた事で、いろんな悪い事が出てきて大変なことになったというような話しだったと思います。」

教師:良く知っているね。では資料のBの「パンドラの箱」を読んでみよう。これは図書室の百科事典をうつしたものです。

  <パンドラの箱は開かれた!>資料B「パンドラの箱」

 パンドラとはギリシア神話における地上最初の女性のこと。プロメテウスという神が天上の火(このおかげで人間はさまざまなことが出来るようになり豊かな暮らしができるようになった)を盗んで人間に与えたのを怒った神の中の神であるゼウスは、仕返しのため人間に災いをもたらせようと、ヘファイストスという神に命じて泥から人間の女をつくらせた。神々はこれにさまざまな性格や技量を与え、飾り物もつけて、プロメテウスの弟で人間の王であるエピメテウスのところへ連れていかせた。
 パンドラとは、「神々からすべての贈り物を与えられた女」の意味とも、「すべての神々からの人間への贈り物」の意味とも解釈されている。
 エピメテウスは、かねてより兄プロメテウスからゼウスの贈り物を受けないよう忠告されていたにもかかわらず、美しいパンドラを見るとそれを忘れ、妻にしてしまう。
 ところでパンドラは、神々から箱をもらってきた。その中にはあらゆる災いや害悪が詰まっていたので、彼女は見てはいけないと忠告されていたが、好奇心から開けてしまい、それらはたちまち四方に飛び散った。
 このときから人類は、さまざまな病苦と災難などの不幸にみまわれることになる。パンドラはあわてて蓋
(ふた)をしたが、その中にはむなしい「希望」だけが残ったというお話。

    (小学館日本大百科全書)

教師:パンドラとは神ゼウスが泥から作らせたものということですが、ゼウスは何のためにパンドラを作らせたのかな?。

生徒:「はい。人間に仕返しをするためです。」

教師:なんで人間に仕返しをしようと考えたのかな?。ゼウスは。

生徒:「プロメテウスが天上の火を盗んで人間に与えたからです。」

教師:そうだね。プロメテウスは人間の王で弟のエピメテウスに頼まれて神々しか使う事の出来ない天上の火を盗んで人間に与えてしまったんだ。こ

    のことを怒ったゼウスが人間に災いをもたらせようとパンドラを作り、災いの入った箱を持たせて人間の王の所に行かせたと言うわけだ。そし

    てゼウスの思惑どうりに開けては行けないと言われた箱をパンドラは開けてしまい。人間の世にあらゆる災いが飛び出したというお話しだ。

     この『天上の火』が文明をあらわしており、文明を神から盗んで人間は幸せになったかわりにたくさんの災いを生み出してしまった。つまり、

    文明には良いところと悪いところとがあるということだね。じゃあこの文明の良いところ悪いところとは何か。つぎにこれを考えてみよう。文明

    の特色のところを参考にして、自分の意見をノートに書いてみよう。そしてそう考えた理由もきちんと書いておこう。

(ノートに自分の意見を書く時間)

教師:ではみんなの意見を聞いてみよう。まず、良いところについて。じゃあ、○○さん。

生徒:「はい。良いところは文字や暦を作った事です。理由は洪水の時期や季節がわかるようになって農耕がしやすくなり、人間の生活が豊かにな

    ったからです。」

教師:ありがとう。ほかにあるかな?。では○○くん。

生徒:「堤防や用水路や道路など大規模な工事ができたことです。理由はこれで洪水を防げたり便利になったりして人間の生活が豊かになったから

    です。」

教師:なるほど。他にあるかな?。□□さん。

生徒:「はい。私は王や奴隷という身分ができたことです。なぜかというとこれで国というまとまりができてやる事が決まり、命令も出来て大規模な工

    事などができるようになり、人間の暮らしが豊かになったからです。」

   「はい。それには反対意見があります。」

教師:はい、なんでしょうか。△△くん。

生徒:「僕は王や奴隷という身分ができたことは悪いことだと思います。なぜなら人間を差別するからです。人間は同じなのに奴隷は道具のようにあ

    つかわれ売り買いされるなんて差別です。悪い事だと思います。」

教師:なるほど。意見が分かれましたね。今の△△くんんと同じ意見の人?。

(3分の1ぐらいが手をあげる)

教師:じゃあ、□□さんの意見に賛成の人?。

(これまた3分の1くらいの生徒が手をあげる)

教師:ではどちらにもあげなかった人はどういう考えかな?。では○○くん。

生徒:「はい。僕は王がでたことは良い事だと思います。王はみんなの役に立つ事をしてくれているんだし,みんなのまとめやくもしてくれている。奴隷

   のように人間を差別する事はいけないことですが。」

   「でも、その王が戦争を起こして他の国を攻め、負けた国の人を奴隷にするんだよ。王だってよくない。」

教師:なるほど。ここは意見がわかれるね。ではこの件はそのままにして、他に良いところ悪いところはないかな?。

生徒:「はい。水道や浴場などができたことは良いところです。理由は清潔な暮らしが出来るからです。」

教師:なるほど。はい、□□さん。何か意見がありますか?。

生徒:「今の△△くんの意見ですが反対です。確かに清潔かもしれないけど、逆に川に御風呂や台所や便所のゴミを流す事になって、かえって環境

    を汚してしまうのではないでしょうか。川や海の生き物にはいい迷惑です。」

   「それにどんどん空気も汚れ地球の温暖化も起きています。」

   「それは今の話しじゃあないの?。自動車の排気ガスや発電所の排気ガスなんかで。」

教師:そうですね。それは今の話し。でも昔の文明の時代にも空気を汚す事はしていましたよ。何かわかるかな?。

生徒:「空気を汚すのは何かを燃やすからですよね?。」

教師:そうですね。何かを燃やすからです。文明のときに何かを燃やしたかな。それも大量に。

生徒:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?。」

教師:ではヒントをあげよう。道具ですよ。正確には道具を作るとき。

生徒:「あっつ、わかった。鉄の道具を作るときでしょ!!」

教師:そのとおり。鉄は自然のままではつかえない。形を整える必要があるね。それには?。

生徒:「火で溶かす!!!。」

教師:そう。火で溶かす。では火はどうやっておこすのかな?。

生徒:「木を燃やす!!」「石油を燃やす!!!」「石炭を燃やす!!」

教師:そうです。そうすると空気が汚れる。もっとも昔は石炭とか石油はあまり使わなかった。主に木です。ということは他にも問題がおきるね。大量

   の木を燃やして鉄をつくる。それには山の木を切る必要がある。そうすると・・・・・。

生徒:「山がはげになる!!!!」(笑い!!!)

教師:山がはげになると何が起こる?。

生徒:「土砂崩れ!!!」「洪水!!!」

教師:そうです。そうすると何が困る?。

生徒:「家がつぶされる!!」「町が壊れる!!!」「畑や田んぼが流されて作物がとれなくなる!!!」「生活が苦しくなる!!!」

教師:というわけで金属の道具ができたことはとても便利だけど、一方で環境を破壊し人間を苦しめるわけです。いっぱいでたね。そろそろまとめて

   みようか。

生徒:「まだあります。戦争は町や畑を壊してしまうので良くないです!!」

教師:なるほど。そうですね。

生徒:「でも戦争のおかげで奴隷が手に入り、いろんな仕事ができるんだから悪い事ばかりではないと思います。」

教師:なるほどそうですね。ではみんなの意見をまとめてみましょう。

 

文明の特徴

そう考えた理由

良いところ ○文字や暦をつくったこと⇒
○大規模な工事ができたこと⇒
 (堤防・用水路・道路など)
○水道や浴場などができたこと⇒
○王や奴隷の身分ができたこと⇒
○戦争⇒
・洪水や季節がわかり人間の暮らしが豊かになる
・洪水を防いだりして人間の暮らしが豊かになる

・清潔な生活ができる
・国がまとまり大規模な工事ができ暮らしが豊かになる
・奴隷が手に入り大規模な工事などができる
悪いところ ○王や奴隷の身分ができたこと⇒
○戦争⇒
○金属の道具ができたこと⇒
・人間を差別するようになる。戦争が行われる
・町や畑が荒らされる。奴隷にされる
・木を切りすぎて山の木がなくなり洪水などを起こす

教師:さてこのように文明には良いところと悪いところとがあるわけですが、もしみんなが『文明を持ったことは人類にとって幸福だったのだろうか?』

    と問われたらどう答えるでしょうか。自分の考えを書いてみましょう。

(自分の考えをノートに書く)

教師:では班の席に移して、班で討論してみましょう。あとで発表してもらいます。

(班で討論。簡単に意見が一致したところと、最後まで一致せずもめていたところとがある)

教師:では発表してもらいましょう。3班は最後までもめていましたね。どう対立したんですか。

生徒:「はい。道具や文字や暦ができたり大規模な工事ができるようになり人間は豊かな暮らしを出来るようになったのだから文明をもって幸福だっ

    たと言う意見と、戦争を起こし人間を差別し環境まで破壊したんだから幸福ではないと言う意見が最後まで対立しました。」

教師:なるほど。ありがとう。これと違う意見がでたところありますか?。はい、5班。

生徒:「はい。まとまらなかったんですが、良い面と悪い面とがあり、例えば奴隷は差別の面もあるがそれで大規模な工事ができて豊かになったんだ

    から奴隷はつらいけどそれで良い生活を出来るようになた人にとっては幸福。だから幸福でも不幸でもなく、どちらとも言えないと言う意見が

    出ました。」

教師:なるほど。他にはありますか?。はい、1班。

生徒:「環境破壊や差別の問題を生み出した事は不幸だけど、文明がなければ今の便利な生活もないのだから、文明を持った事は幸福だと思いま

    す。悪い事は気がついたところから直して行くしかないんじゃあないかと思います。」

    「今の意見に反対です。直して行けば良いと言いましたが、もうすでに遅いんじゃあないですか。環境なんかはメチャクチャです。温暖化も進

    んでいてほっとけば北極や南極の氷も溶けて陸地の大部分が海に沈んでしまうといいます。」

    「だから、温暖化の原因になる排気ガスなんかを減らせばなんとかなるんじゃあないですか?。」

    「でも、自動車なんかもなくせないし、電気もないととっても不便な生活になると思います。」

    「私は戻れるものなら文明の前の状態に戻り、他の動物と同じ生活に戻ったほうが良いと思います。」

    「動物と同じ生活なんかいやだよ。便利な生活がしたい。すこしずつ直していけばいいじゃん。」・・・・・(議論は続く)・・・・

教師:完全に意見が別れましたね。これは大事な問題です。もう一度皆の意見を参考にして自分の意見をまとめてください。

(再度自分の意見をまとめる)

教師:ではこれで授業を終わります。次の時間はまとめのレポートを書いてもらいます。ノートを読みなおし、自分の考えの書いてないところは書いて

    おいてください。その次の時間は教科書をまとめる問題を作っておきますので、それをやりましょう。では終わり。

 


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