<泣く子と地頭には勝てぬ>@ 鎌倉時代って誰の世?


教師:では今日から新しい単元に入ります。題して「泣く子と地頭には勝てぬ」。

生徒:「地頭ってなんですか?。」

教師:これはね武士のことなんだけど、鎌倉時代に武士の事をこう呼ぶようになったんだよ。・・・じゃあこの泣く子と地頭・・の意味分かるかな?。

生徒:「わかんないよ!!!」

教師:みんなはデパートや駅やお店で泣いている子に出会った事ないかな?。

生徒:「あるある」「ないなー」(反応はいろいろ)

教師:うん。何か買って欲しくて泣き喚いている子はどんな感じになる?。

生徒:「ギャ―ギャ―泣いて泣き止まない。」

教師:そうだね。泣き止まない。それで親が怒鳴ったりひっぱたいたりすると?。」

生徒:「大騒ぎになってひっくり返って泣き出す子もいる。」

教師:そうそう。ひどいのになるとひっくり返って両手両足をばたばたさせて泣き喚く子もいるね。・・・・そうなると親はどうする?。

生徒:「降参して何か買ってやる」「引きずって連れて帰る」「ほっぽって置く」・・・・・

教師:そう。いろいろな対応をするけど、要するにどうにもならないということだね。・・・・つまり「泣く子」と「地頭」というのはどうにもならない者の代名

   詞なんであってものすごく怖いものっていうイメージでもあるんだ。・・・・今回の単元はなぜ地頭という武士がどうにもならないほど怖いものという

   イメージになったのかということを学ぶ事を通じて、鎌倉時代ってどんな時代なのかを勉強してみようと思います。

    ところでこの「鎌倉時代は誰の世?」という問題だけど、これにはどう答えます?。ちょっと考えてみよう。

(各自考え、ノートに書く)

教師:では答えてもらおう。・・・・はい。□□くん。

生徒:「はい。頼朝の世だと思います。」

教師:なぜそう思いますか?。

生徒:「源頼朝が鎌倉に幕府を開いたからです。」

教師:なるほど。幕府ね。・・・・・・いつのことだっけ?。

生徒:「いいくにつくろうだから・・・・」「あっつ、1192年だ!!!」

教師:そう。1192年だね。その年に彼はある役職についたんだね。何だっけ?。

生徒:「将軍!!」「征夷大将軍!!!!」

教師:良く覚えているね。・・・・・・ところで鎌倉時代は誰の世。他に答えはないかな?。・・・・はい。○○さん。

生徒:「はい。武士の世だと思います。理由は、源頼朝が鎌倉に幕府を開いて武家政治が始まったと教科書に書いてあるからです。」

生徒:「あっつ、ずるーい。教科書見て!!」「いいだろ。参考にしたんだから。」

教師:うん。資料をうまく使ったな。・・・・つまり、鎌倉幕府に集まって頼朝のもとで政治を行ったのは武士だということだね。・・・ということは鎌倉時代

    は武士の世ということだな。

     では、もう一つ質問だけど、鎌倉時代の前の奈良・平安時代って誰の世だっけ?。

(一斉にノートに鉛筆を走らせている)

教師:はい。どうだろう。・・・・・・ちょっとヒントを言おうか?。奈良時代を代表する建築物があったね。

生徒:「あっつ、わかった。はい!」

教師:はい。△△さん。

生徒:「はい。天皇です。」

教師:どうしてそう思うの?。

生徒:「奈良時代を代表するのは奈良の大仏や平城京です。それを造らせたのは聖武天皇。だから天皇の世。」

教師:なるほど。そうだね。で、その大仏や平城京を実際につくったのは?。

生徒:「大工さん!!!」「農民たち!!!」「労役できた農民たち!!!」

教師:そのとおりだ。天皇はたくさんの人に命令できるんだね。・・・・・他には?。・・・・はい、○○くん。

生徒:「はい。僕は貴族の世だと思いました。理由は大きな家に住んでいてたくさんの給料をもらい贅沢な生活をしていたからです。」

教師:なるほど。で、その給料は誰からもらったのかな?。

生徒:「天皇!!!」

教師:そのとおり。・・・で、そのお金を天皇はどうやってかせいだのかな?。

生徒:「税金!!!」「農民などから税金をとった!!!」

教師:はい。正解です。良くわかっている。・・・・つまり天皇や貴族は多くの人から税をとったり命令したりする事ができるということですね。つまり、奈

   良・平安時代は天皇・貴族の世といえるわけです。・・・・・・・・では今日の課題です。「鎌倉幕府ができたことで、前時代の支配者、つまり天皇や

   貴族はどうなったのだろう?。」。はい。自分の考えを書いてみよう。

(各自ノートに意見を書く。「えっつ」という顔をして考え込んでいる生徒もいる)

教師:ではいいかな。班にして討論してまとめてみよう。

(班での討論。わりとみんなの意見は一致しているようだ)

教師:では、発表してもらおう。・・・・・・・はい、2班お願いします。

生徒:「はい。うちの班では殺されたという意見と、ただの普通の農民になったという意見が出ました。」

教師:はい、ありがとう。他は?・・・・はい6班。

生徒:「うちの班では、武士に殺されないように山にひっそりと隠れていたとい意見にまとまりました。」

教師:なるほど。隠れていたね。面白い。・・・・他は?・・・・・はい3班。

生徒:「うちの班では仕事がないので家でゴロゴロしていたという意見と、内職に専念していたという意見が出ました」(爆笑!!!)

教師:なるほど。面白い意見だ。・・・他の班は?・・・・・・はい5班、お願いします。

生徒:「はい。うちの班は幕府に不満はあったのだけどしかたがないので幕府に従ったにまとまりました。」

教師:なるほど。しぶしぶ従ったね。・・・・・他には?・・・・はい1班。

生徒:「はい。5班と似ているんですが、幕府のいいなりになったという意見が出ました。それから、一部は武士になったという意見もありました。」

教師:はい。ありがとう。・・・あとは・・・4班お願いします。

生徒:「はい。他の班と似ているけど、天皇の力は弱まったという意見と弱い貴族は殺されたという意見がありました。」

教師:はい。ありがとう。・・・・・・・こうしてみるとみんな似ているね。要するに天皇・貴族の力は弱まったということだね。

生徒:「はい。意見があります。」

教師:「はい。××くん。なんですか?。」

生徒:「班では笑われて発表しなかったのだけど、僕は何も変わらなかったと思います。」

教師:うん?、どういうこと。

生徒:「だから、武士の世にはならなくて、今までどおりに天皇・貴族の世が続いたということ。」

生徒:「なによそれ。変だよ。武家政治が始まったと言うのに。何言ってるの。」

生徒:「うん。なんとなくそう思っただけだけどさ。」

生徒:「先生どっちが正解なの?。」

教師:それはね。・・・・・・じゃあこの資料を読んで、ノートのまとめの4つの問題に答えてみてください。この資料は鎌倉幕府が出来た時の政治の仕

   組みをまとめた図で、あとでもう一度使うものなんだけど。(資料Iを配る)

(図を見ながら問いの答えを考える)

まとめ:@将軍を任命するのは⇒【      】

    A将軍になれるのは⇒【     】の身分をもつ人

    B全国から税をとれるのは⇒【       】だけ

    C幕府の命令が行き届くのは⇒【      】だけ

教師:では、いいかな?。・・・・・・1番の問題。将軍を任命するのは誰?。

生徒:「朝廷!!!!」「天皇!!!」

教師:そう。朝廷だけど、具体的には天皇だね。・・・・・ということは将軍と天皇とはどっちが偉い?。

生徒:「天皇!!!」

教師:そう。正解です。・・・・・では2番の問題。将軍になれるのはどんな身分の人?。

生徒:「貴族!!!」「えっつ、武士はなれないの?。」

教師:うん。ただの武士は将軍にはなれない。武士の頭で貴族の身分を持った人しかなれないんだ。源頼朝の源という姓は、先祖が天皇だというこ

    とを示していて、彼自身は5位の位を持つ貴族でもあるんだよ。

生徒:「へーっつ、知らなかった!!」

教師:では3番の問題。全国から税をとれるのは?。

生徒:「地頭!!」「郡司!!」「武士!!!!」

教師:うん。取るのはそうだけど、その税・年貢は最終的にはどこに行く?。

生徒:「あっつ、朝廷だ!!!」「天皇・貴族のところだ!!」「なんだ昔のままじゃあないか!!」

教師:そう。税は相変わらず天皇・貴族のもの。武士はただ税をとって都に運ぶ人ということ。

生徒:「ふーん。なーんだ。」

教師:では最後の4番の問題。幕府の命令、将軍の命令でもいいが行き届くのはどこまで?。

生徒:「守護!!!」「地頭!!!」

教師:そうだけど、その守護とか地頭とかはどこに住んでいるの?。

生徒:「国!!!」「あっつわかった。東の国だ!!!」

教師:そう。東国。東の国だよ。

生徒:「東国ってなに?。」

教師:都から見て東の方の国ということだが、尾張の国、愛知県から東を指していたんだ。そして幕府・将軍の命令が届くのはこの範囲で、西国に

    は届かなかったんだよ。・・・・・とまあ、ここまで問題をといてみると、さっきのみんなの答えの中でどれが正解かな?。

生徒:「あれ?。何も変わらないじゃない?。」「そうかな?。」

教師:では最後にもう一度今の結果を踏まえて、「鎌倉時代って誰の世」という問題に答えてみよう。

(各自ノートにまとめる)

教師:では答えてもらおう。・・・・・・・・・はい△△さん。

生徒:「はい。私は鎌倉時代は奈良・平安時代とかわらずに天皇・貴族の世だと思います。ほとんど変わっていないからです。」

教師:ありがとう。他にはどうかな?。・・・・・・はい、□□くん。

生徒:「はい。僕は鎌倉時代は天皇・貴族、そして武士の世だと思います。武士の力が前の時代よりも強くなっているからです。」

教師:はい。ありがとう。・・・・・他には?。

生徒:「先生!。今の二つの意見どっちが正しいの?。」

教師:そうだね。どっちだろうね。・・・・・・それをこれからの学習で解いて行こうと言うわけだよ。・・・・いいかな。・・・・で次回はいきなり鎌倉時代に入

    っても分からないから、武士が起こった時代。平安時代の中ごろにもどって見ようと思います。では、今日の授業は終わります。


授業2000に戻る 次の授業を見る