<泣く子と地頭には勝てぬ>C 国司は転んでもただでは起きぬ


教師:さて今日の授業の題は「国司は転んでもただでは起きぬ」です。

生徒:「転んでもただでは起きないってどういうこと?。」

教師:うん。どう言う事だと思う?。

生徒:「お金もらわなきゃ起きないということ?。」「まさか!!」

教師:うん。いいね。もうちょっとで正解だ。近い!。・・・・・みんなは道で転んだときどうするかな?。

生徒:「すばやくたち上がって誰も見ていないか確かめる!。」

教師:なるほど。見られちゃ恥ずかしいというわけだ。・・・・・ただでは起きない人は、転んだらまず起きあがらないで地面をきょろきょろと見まわすん

    だ。・・・・・・

生徒:「あっつ、わかった!!! お金を探しているんだ!!」「落ちてるお金を探しているんだ!!」「せこいやつ!!」

教師:そうだね。そういうこと。転んでもただでは起きない人というのは失敗しても自分の利益になることをそれでも追い求める人ということなんだ。・・

   今日は、なぜ国司がそう呼ばれたのかを考えてみます。・・・・では最初の問題。国司って何をする人だっけ?。

生徒:「泥棒を捕まえる人!!!」「税金を集める人!!!」「ガードマン!!!」「泥棒!!!」

教師:いろんな答えが出たけど、どれが正解?。

生徒:「税金を集める人!!!」

教師:そう。正解。国司とは国毎の税金を集める役人のことです。

生徒:「なーんだ、役人なんだ。」

教師:そうだよ。役人。・・・・ではこの国司と言う役人になれるのはどんな人?。

生徒:「貴族!!!」「下級貴族!!!」「上級貴族!!」

教師:どれが正解?。

生徒:「下級貴族!!!」

教師:そうだね。下級貴族。・・・貴族といっても上級と下級とがあったんだね。ちょっと資料集を開けて確認してみよう。・・・p29を開けてください。

教師:この資料の三位以上が上級貴族。四位から五位が下級貴族だね。上級貴族の人は六位とか四位から始まって上に上がっていくけれども、下

   級貴族の人はもっと下から、七位とか八位とかから上がって行き、せいぜい良くて四位どまりなんだ。

生徒:「収入もずいぶん違うね!」

教師:そうだね。下級貴族の一番上の正四位の収入は年に4119万円。・・でも上級貴族の一番下の五位は?。

生徒:「7490万円!!!」

教師:そうです。まあ正しくは下から2番目の正五位の収入だけどね。一番下の従五位だって正四位の3倍は収入がある。・・・もっとも上級貴族の一

   番上の正一位はもっとすごいね。

生徒:「3億7455万円!!!」「すげー!!!」

教師:そう。すごい金額だ。・・・・・上級貴族と下級貴族の収入にはすごい開きがある。・・・・開きがあるのは収入だけじゃあないね。・・・なれる役職

   が違うんだ。・・・・・上級貴族って何になれるんだっけ?。

生徒:「摂政!!!」「関白!!!!」

教師:うん。それはね。上級貴族でもある特殊な条件のある人しかなれないんだ。・・・・一番上は・・・・

生徒:「大臣!!!」

教師:おっつ、正解。大臣。・・・・その大臣の中の一番上は・・・・?

生徒:「太政大臣!!」

教師:すごい、良く知ってるね。一番上が太政大臣。でもこれは普段は置かれない臨時の職なんだ。普通一番上は左大臣。次は右大臣。その次は

   大納言。そして中納言。・・・

生徒:「次は少納言!!」

教師:うん。残念ながら少納言は大臣じゃなくてその下。

生徒:「なーんだ。残念。」

教師:中納言の下は参議というんだ。大臣たちの組織である太政官の会議に参加できる人という意味だね。・・・・そして平安時代にはこれらの大臣

   の上にもう一つ役職ができたんだ。それがさっき出た摂政・関白。これは天皇の代わりに政治を行う人、ということだ。

生徒:「なんで代わりがいるの?。」

教師:良い質問だね。・・・・この時代の天皇はなぜかみんな若くして死んでしまうんだ。だいたい20代から30代の始め。ひどいのになると18なんて

   人もいる。

生徒:「早いね!!」「なんで?。」

教師:そうだね。なぜかね?。・・・・ともかく若くて死ぬんだ。・・この時代の人は13才で成人式をして15才で結婚をして17くらいで親になる。

生徒:「早いな!!!」

教師:そう。早い。だけど18とか20代の始めで天皇が死ぬとあとつぎの子供は・・・・・

生徒:「幼い!!!」「ちっこい!!!」

教師:そう。幼い。よくて10才くらい。ひどいときには3ヶ月なんてのがいる。・・・・太政官の会議は天皇がそこに参加して、大臣たちが討論してだい

   たい結論がでると、天皇にそれでよいかたずねて、天皇の同意がでればそれで決定。・・・なのに3ヶ月の赤ん坊が天皇じゃ・・・

生徒:「あぶあぶ・・・ってしか答えないよ!!」(爆笑!!)

教師:そう。・・・答えられない。・・・そこで天皇の母方の上級貴族の中から、天皇のおじさんとかおじいさんとかが代わりをする。天皇が幼いときは摂

   政。成人してからも代わりをするときは関白っていうんだよ。

生徒:「おもしろいしくみだね。」

教師:うん。おもしろいね。・・・・・とこういうふうに平安時代にはしくみは少し変わったけど、上級貴族ならこの大臣のどこかにはなれるんだ。

生徒:「下級貴族はなれないの?。」

教師:いくつかの例外を除いてね。下級貴族はなれて国司なんだ。

生徒:「例外ってどういう時?。」「どうやったらなれるの?。」

教師:うん。それはあとでもう一度考える事にして、・・・・・とりあえず、上級貴族と下級貴族の違いはわかったかな?。

   じゃあ、次の問題に行こう。・・・・・・この時代、武士や豪族・農民はよく国司を襲って追い出したね。・・・・平将門の乱もそういうことだったのだ

   が。・・・なぜ武士や豪族や農民は国司を襲って追い出したんだっけ?。

(各自ノートに自分の考えを書く)

教師:じゃ、聞いてみよう。・・・・・はい、□□くん。

生徒:「はい。税をいっぱい持って行ったからです。」

教師:そうだね。・・・・はい、○○さん。

生徒:「決められた以上の税を取って行ったからです。」

教師:そうだね。・・・・・・そしてもし税を払わなかったり、そのことに抗議したりすると・・・・・?

生徒:「ぼこぼこにされる!!!!」「殺される!!!」

教師:そう。暴力を振るわれるわけだ。・・・将門のいた関東地方もそうだったけど、実はこれは全国的にそうだったんだよ。・・・・ちゃんと資料があ

   る。国司の不正な行動に抗議した人たちがいて、それが記録に残っているんだ。・・・資料集をあけてください。p40。尾張の国司藤原の元命の

   悪政というのがあるね。

生徒:「すごいことやるね。」

教師:そう。貸した稲の利子を不当に高く余計にとった分が約1億円と少し、そしてかんがい施設の修理や災害救助の費用で支給しないで自分のふ

    ところにいれたぶんが1000万円ほど。

生徒:「かんがい施設って何?。」

教師:田んぼや畑に水をひいたりするものさ。

生徒:「あっつ用水路か。」

教師:そう。用水路。そういう大事なものの修理費用までも自分のポケットにいれたんだね。

生徒:「この人訴えられてどうなったの?。」

教師:どうなったと思う?。

生徒:「くび!!!」「牢屋送り!!」「死刑!!!」「島流し!!!」

教師:残念でした。全て不正解。藤原元命は尾張の国司はくびになったけど、他のもっと大きな豊かな国の国司になったんだよ。要するに転勤。

生徒:「ええーっつ!!!」「なんで?。」

教師:うん。なんでかね?。・・・・そして新しい所で国司になって・・・・・

生徒:「また不正なことをした?。」

教師:そう。またまた税を余分にとったり自分のものにした。

生徒:「ひどーい!!」「どうして?。」

教師:そこで今日の課題。・・なぜ国司は税を多く取ったり自分のものにしたのか?。・・さあ、自分の考えをまとめよう。

(各自ノートに自分の考えを書く)

教師:だいたい書けたかな?。・・・・じゃあ、班にして討論してみよう。

(各班での討論)

教師:では、いいかな。・・・・じゃあ発表してもらおう・・・・・。はい、1班。お願いします。

生徒:「はい。贅沢な暮らしをしたかったからだと思います。・・・・・それから、とにかくお金が欲しいという意見も出ました。」

教師:なるほど。・・・・・・他には?。・・・・はい、6班。

生徒:「はい。農民を苦しめるのが面白かったからという意見と、上級貴族よりも収入が少ないのでお金が欲しかったという意見が出ました。」

教師:なるほど。・・・・・・・すごい意見だね。農民を苦しめるのが面白い。・・・・・はい、2班。

生徒:「貧乏だからという意見と、何で上のやつだけ良い暮らしをして、どうして実際に税を集めるおれたちが収入が少ないんだという気持ちでやった

   という意見が出ました。」

教師:あっつ、面白い意見だね。・・・・要するに上級貴族に対する不満が原因だと言うわけだ。

生徒:「はい。そうです。」

教師:なるほどね。・・・・・他には?。・・・・・・・はい5班。お願いします。

生徒:「はい。うちの班ではワイロじゃあないかという意見が出ました。」

教師:どういうこと?。詳しく説明してください。

生徒:「はい。下級貴族は収入も少なく国司にしかなれないわけじゃあないですか。それでもっと給料を上げてくれとか、もっと上の位につけてくれと

   かということで、上の人にワイロをあげてんじゃあないかということです。それで税をいっぱい取ったり自分のポケットに入れている。」

生徒:「なるほど!!!」「上のやつも汚いな!!!」

教師:そうだね。・・・で、上の人って誰かな?。

生徒:「上級貴族!!!」「天皇!!!!」

教師:そうだね。・・・・・他にあるかな?。・・・・・はい、3班。

生徒:「似ているんですけど、上の人にワイロをあげてそれで自分も上級貴族や天皇になりたいからという意見が出ました。」

生徒:「なれるわけない!!!」「ムリムリ!!!」

教師:うん。そうなだね。・・・・・・4班は意見あるかな?。

生徒:「全部言われてしまいました。」

生徒:「質問!!」

教師:はい。××くん。何ですか?。

生徒:「はい。下級貴族はなんで上級貴族や天皇になれないんですか?。」

生徒:「あたりまえやろ!!!」「身分が違う!!!」

教師:うん。良い質問だね。・・・・・身分ってどうやって決まるの?。

生徒:「親!!!」「親の身分!!!!」

教師:そう。正解。・・・身分って親の身分で決まるんだね。天皇には天皇の血を引いてないとなれない。上級貴族も同じなんだ。・・・・身分は親の身

   分で決まるんだよ。・・・そして兄弟でも親の身分が違うとなれる職や位が違うんだよ。・・・資料を配ります。(資料Bを配布)

教師:この遠経と基経の兄弟はどちらも藤原長良の息子なんだけど、兄の遠経の母は下級貴族の娘の難波の淵子。しかし弟の基経の母は上級貴

   族の娘の藤原の乙奈。しかも父の藤原長良が早死にして、弟の基経は父の弟で関白にまでなった良房の養子になっているんだ。・・・・・・・・・・

   二人の出世は違うね。基経が従五位になったのは19才。では兄の遠経は何才?。

生徒:「31才!!!」「遅ーい!!!」

教師:うん。遅い。そして遠経が従五位になったのと同じ年、30才の基経は?。

生徒:「従三位!!!」「中納言!!!」「大臣!!!」

教師:早くも大臣というわけ。そして遠経がやっと美濃の国司になった時には弟の34才の基経は?。

生徒:「大納言!!!」

教師:そして遠経が従四位になった48才の時には、弟の基経は?。

生徒:「太政大臣!!!!」「正二位!!!」

教師:兄がまだ国司をやっているのに弟はすでに一番偉い貴族になっている。・・・そして翌年基経は・・

生徒:「関白!!!」

教師:そう。天皇の代理をやっている。・・でも兄の遠経はその3年後51才でやっと右大弁。大臣の書記長になってそれで終わりだ。

生徒:「結局大臣にはなれなかったんだ。」

教師:そうだね。なれなかった。・・・・・・・・兄弟でもすごい違いだね。・・・・・じゃあ、まとめの問題をやってみよう。

○まとめ

@貴族の出世は【        】で決まる。

A上級貴族の息子は【        】になるが、下級貴族の息子は【      】止まり。

B収入の少ない下級貴族は【     】をたくさんとって自分のものにする。

教師:できたかな?。・・・・・じゃあ、答え合わせ。・・・・貴族の出世は?。

生徒:「家柄!!!」「母の身分!!」「親の身分!!!」

教師:そう。どれでもいいね。貴族の出世は家柄できまる。

生徒:「家柄って何?。」

教師:家柄はね代々どういう地位でどういう職についてきた家かということ。同じ身分の上級貴族でも家柄は違うんだよ。・・・で上級貴族の息子は何

   になれる?。

生徒:「大臣!!!!」「太政大臣!!!」

教師:そう。大臣で良いね。・・・そして下級貴族の息子は何止まり?。

生徒:「国司!!!!!」

教師:そう。国司だね。・・・だから、収入の少ない下級貴族は何をたくさんとるの?。

生徒「税!!!!」

教師:そうだね。税をたくさんとって自分のものにする。

生徒:「農民がかわいそう!!」「下級貴族だってかわいそうだぞ!!!!」「ずるいのは上のやつだ!!!」

教師:そうだね。・・・・・・では今日の授業はおしまい。


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