<泣く子と地頭には勝てぬ>H 頼朝さまばんざい!
教師:さて今日は前の時間の続きで、なぜ関東地方の武士が頼朝に従ったのかと言う事を考えてみよう。・・・・最初に教科書を使って、鎌倉幕府が
出来て行く過程と、そのしくみについて確認しておこう。・・・・ノートの一番上の問題をやってみよう。
教師:では、いいかな・・・・・・・・・・・・・・?。じゃあ答えあわせをしながら意味を考えておこう。
1180年に平氏打倒の兵をあげて鎌倉に本拠を置いたあと、頼朝が御家人を統率するために置いた役所を何と言う?。
生徒:「侍所!!!!」
教師:そう。侍所。頼朝の家来になった人を「御家人」というのだが、この人々を統率すると共に戦となればその指揮をする役所だね。
では次は・・・・、後白河法皇から東国の支配を認められてから置いた役所で、東国の政務や財務を扱う役所は?。
生徒:「政所!!!!!」
教師:そう。政所。・・これはもともと頼朝の領地からの税を集めたり管理したり、その領地を治めたりする役所なんだけど、役割を広げて、東国全体
を治める幕府の役所になったんだ。
ではもう一つ、領地争いの裁判をする役所の事を何と呼ぶ?。
生徒:「問注所!!!!」
教師:そう。問注所。これは裁判所なんだけど、主に領地争いを裁判するんだ。武士同士や武士と貴族とが土地をめぐって、そこから税をとる権利な
どをめぐってよく争ったんだ。問注所は幕府の有力者である武士が裁判官となってさまざまな証拠や証人に基づいて争いを裁いたんだよ。
・・・幕府ができる前は都の朝廷に記録所という役所があり、貴族が裁判官となってこの領地争い裁判していたんだ。
生徒:「記録所だと、武士と貴族が領地争いをしたときに武士は不利ですね?。」
教師:○○くん。もう少し詳しく言ってごらんなさい。
生徒:「はい。記録所は裁判官が貴族だから、武士と貴族とが争った時には貴族に有利に裁判が進むと思うけど、問注所だと裁判官が武士だから
武士に有利に裁判が進むと思います。」
生徒:「なるほど!!!」
教師:そういうことですね。・・・・・・で次に行こうか。・・・・1185年に平氏を滅ぼしてから全国に様々な仕事を持った人を置いたわけだが、国内の御家
人を指揮して京都・鎌倉の警備をしたり犯罪者の取締りをした役職を何と呼ぶ?。
生徒:「守護!!!」
教師:そうですね。守護。・・・これは国毎に一人有力な御家人を任命したんだ。その国に住む御家人を指揮することと、その御家人たちを指揮して
国内の犯罪者を取り締まると言う、要するに・・・・・
生徒:「警察!!!!!」
教師:そう。警察!!。警察の元締めのことを守護って呼ぶんだね。これまでだったら誰の仕事だったっけ?。
生徒:「・・・・・・・・?」「あっつ、国司!!!」
教師:そう正解。国司だよ。・・・・国司って誰がなるんだっけ?。
生徒:「貴族!!!」
教師:そう。貴族。・・・・つまり国に守護を置いたってことは国司の警察の仕事をとってしまったということなんだ。
生徒:「へーっつ、じゃあ国司っていらなくなったんだ!」
教師:そう。・・・・まだいたけど、事実上仕事がなくなって行くんだな。・・・・・では次。荘園・公領を管理する役職を置いたね?。
生徒:「地頭!!!」
教師:そう、地頭。・・・これは村毎に置かれたんだ。・・・村には国のものである村、つまり公領の村と、有力な貴族のものである村、つまり荘園の村
とがあったんだけど、それぞれの村に地頭を置き、それに御家人を任命したんだね。
生徒:「泣く子と地頭の地頭ってこれなんだ。」
教師:そう。これです。・・・・ところで地頭の仕事って荘園や公領の村を管理するだけだっけ?。
生徒:「年貢の取り立て!!!!」「警察!!!!!」
教師:そうだね。村村に住む人たちから年貢や税を取り立てたり、犯罪者をとりしまる仕事。これが地頭の仕事なんだ。・・・・でもこれってさ。今まで
は誰の仕事だっけ?。
生徒:「・・・・・・・・?」「・・・あっつ、国司?」「荘官?。」
教師:そう。正解。公領の村の税を集めたり警察は国司がやり、荘園の村の年貢を集めたり警察の仕事は貴族の家来である荘官がやっていたんだ
ね。ということは村村に地頭が置かれたってことは、国司や荘官は・・・
生徒:「いらない!!!!!」
教師:そういうことです。つまり国々や村村を支配するのは貴族ではなく、
生徒:「武士!!!」「守護!!」「地頭!!」
教師:そう。守護や地頭となった頼朝の家来である武士たちってことになったんだね。
生徒:「あっつ、何か分かってきたぞ」
生徒:「何が?。」
生徒:「なんで関東地方の武士が頼朝に従ったのかってことが」
教師:うん。・・・それはよかった。・・・・じゃあ最後に行こうか?。問題の右側の図。・・・将軍と後家人の関係だ。
将軍の仕事は、御家人に所領を与えたり土地を支配させたりすることなんだけど、このことを何と呼んでいるの?。
生徒:「御恩!!!」
教師:そうだね。御恩。でこの「所領を与えるとか土地を支配させる」とかいうのは、その土地の地頭に任命するってことなんだよ。地頭がその土地を
実際には支配しているんだからね。税を集めるのも地頭だし、土地の管理も地頭、そして警察も地頭だ。
生徒:「なるほど!!」
教師:で、地頭にしてもらった御礼として、御家人は京や鎌倉の警備をしたり戦に行ったりするわけだ。これを何と呼んでいるの?。
生徒:「奉公!!!!」
教師:そう。奉公と言います。御恩と奉公。ようするに将軍と御家人の約束なんだね。御主人の将軍は家来を地頭にする義務があり家来の御家人
は御主人のために警備したり戦に行く義務がある。・・・・これが将軍と御家人の関係なんだ。
生徒:「ふーん」
教師:これが鎌倉幕府のしくみ。じゃあ鎌倉幕府ができて世の中がどう変わったかを図にしてみたので配ります。(資料J「鎌倉幕府ができた時の
しくみ」を配布する)
教師:左側は西国で、これは平安時代のままのしくみ。右側は東国で、これが鎌倉幕府ができたことで生まれたしくみだ。鎌倉幕府ができた東国は、
平安時代のままの西国と何が変わったのだろうか。税の流れやだれがその土地を治めているかなどに注目して考えてみよう。
生徒:「はい!!」
教師:はい。□□くん。どうぞ。
生徒:「はい。西国は貴族である国司が支配しているけど、東国は御家人である守護が支配しています。」
教師:なるほど。そうだね。・・・・・他には?。・・・・・はい、△△さん。
生徒:「はい。東国の税や年貢は一度将軍の所に集められてから都の朝廷に送られています。」
教師:なるほど。そうですね。・・・・・他には?。・・・はい○○くん。
生徒:「はい。西国の村は貴族に任命された郡司や荘官が治めているけど、東国の村は将軍に任命された地頭が治めています。」
教師:なるほど。そのとおりです。・・・・・・他には?。・・・・はい、××さん。
生徒:「西国の郡司や荘官は税や年貢をとって都の貴族に送るだけだけど、東国の地頭は兵糧米というものをとることができます。」
生徒:「兵糧米ってなんですか?。」
教師:うん。兵隊さんに必要な米ということで、戦争や警察の仕事をするのに必要な費用にあてる税や年貢の一部なんだ。これを地頭は自分のもの
に出きるんだよ。
生徒:「えっつ、いいなー。もうかるじゃん。」
教師:そうですね。もうかる。・・・・・・・ところで武士ってどうやって収入を得ていたかわかるかな?。
生徒:「税を取る!!!」
教師:残念でした。・・・・その税は全額朝廷か貴族のもの。武士には1円も入ってこないんだよ。
生徒:「あっつ、そうか。」
教師:じゃあ、武士の収入はなんだ?。
生徒:「・・・・・・・・」
教師:武士ってのはね、自分の田畑を持っていてそれを耕して作物を売ったりしてもうけていたんだ。
生徒:「なんだ。農民と同じじゃあないか。」
教師:そう。同じだ。でもそれ以外に商人もやっていた者もいるし運送業もやっていた人もいたんだ。・・・要するに自分で稼いでいただけ。
そこに「兵糧米」をとる権利が入れば?。
生徒:「収入が増える!!!」「今度は税の一部を自分のものにできる!!」
教師:そうです。・・・・・・・・じゃあもうわかるね。東国の武士がなぜ頼朝に従って御家人になったのか。自分の考えを書いてみよう。
(各自、自分の考えをノートに書く)
教師:いいかな?。では班にして、班で討論してまとめてみてください。
(班毎に討論)
教師:じゃあ、そろそろまとまったみたいだね。発表してもらおう。・・・・・・はい、6班。
生徒:「はい。やっぱり。もうかるからです。頼朝さんについていけば、貴族についていくよりも武士の収入も増え、力も強くなると思ったからです。」
教師:なるほど。もうかるね・・・・。他には?・・・・・・はい。1班。
生徒:「はい。頼朝さんは信頼できそうだったからです。」
教師:なぜですか?。
生徒:「はい。武士の頭ですし、武士の暮らしを良くわかっているから、この人について行けば武士の暮らしが良くなると思ったからです。」
教師:なるほど。・・・・武士の暮らしが良くなるね・・・・。他にはどうだろう。・・・・・はい。4班。
生徒:「似ているんですけど、頼朝さんは問注所という裁判所をつくって領地争いを武士に有利にしてくれたし、地頭にして兵糧米をとれるようにしてく
れたからです。」
教師:なるほど。問注所を作ったり、地頭にしてくれることで武士の暮らしを良くしてくれたんだね。
生徒:「そうです。」
教師:なるほど。・・・・・・・他には?。・・・・・・はい。2班。
生徒:「貴族に従っていても武士の暮らしを守ってはくれないし、税や年貢をとられていやな仕事をさせられるだけだから、頼朝さんを頭にして武士中
心の世の中にしたいと思ったからです。」
教師:どうしてそう考えたのかな?。
生徒:「貴族の下にいたのでは武士は税や年貢を集める係りだけで税や年貢は自分の物になりません。それに戦をして人を殺さなければいけませ
ん。だから武士はちっとも楽しくなかったと思います。・・・だから収入を増やし、少しでも貴族の命令を聞かなくても良い世の中に出きるかもし
れないと思って、頼朝さんの家来になったんだと思います。」
教師:なるほど。貴族に従っていても良い事はないと思ったわけだ。・・・・・他の班は?。
生徒:「5班も同じ意見です。」
生徒:「3班は1班と同じです。」
教師:なるほど。みんな同じね。・・・・・ところで皆に聞くけど、頼朝が兵をあげたのは平氏を討つためだったよね。そのために関東の武士に家来とな
って共に戦うように求めたんだ。・・・でもみんなの考えだと、関東の武士は貴族から独立して自分たちの暮らしが良くなる事を願って頼朝の家
来になったということだから、平家を討つってことは関東の武士にとってはどう言う意味を持っていたんだろうね?。
生徒:「はい!!」
教師:はい。○まるさん。
生徒:「平氏は勝手な政治をしたっていうから関東の武士たちもそれには反対していたんではないですか?。」
生徒:「はい。今の意見に反対です!!」
教師:はい。××くん。
生徒:「はい。それは貴族の意見で清盛さんは武士の頭としてちゃんとやっていたと思うので武士たちは平家を倒す気持ちはなかったと思います。」
生徒:「はい。××くんの意見に賛成です。」
教師:はい。□□さん。
生徒:「はい。私は関東の武士は最初から平氏を討つか討たないかはどうでもいいのであって、武士中心の世の中にするために兵をあげる理由が
欲しかっただけだと思います。以仁王は後白河法皇に代わって平氏を倒せと命令を出しているんだから、それに従えば天皇の命令で兵を上
げていることになります。関東の武士が頼朝に従って兵を上げたのは平氏を倒すためではなく、貴族をやっつけて武士中心の世の中に変え
るためだったと思います。」
生徒:「おーっつ!!!!」
教師:なるほど。兵をあげる理由が欲しかっただけね。面白い意見だ。・・・・・・・・じゃあ、だいたいわかったかな?。最後にまとめをやっておこう。・・・
ノートの最後のまとめ問題。やってみてください。
(各自問題にとりくむ)
○まとめ: 幕府(将軍)は、御家人を【 】や【 】に任命して さらに荘園や公領から【 】をとって自分のものにするこ |
教師:さあ、いいかな?。・・・・では答えあわせをしよう。・・・・幕府は御家人をな何と何に任命するの?。
生徒:「守護!!!」「地頭!!!!」
教師:そうですね。守護・地頭。そして彼らは何を取りたてるの?。
生徒:「税!!!」「年貢!!!」
教師:正解です。そして村を・・・
生徒:「管理する!!!」
教師:そして何の仕事をすることを保護したの?。
生徒:「警察!!!!」
教師:そうです。・・・さらに彼らが荘園や公領から何をとって自分のものにすることを認めたの?。
生徒:「兵糧米!!!!」
教師:そうです。兵糧米。・・・・じゃあ、今日の授業はお終い。
生徒:「質問!!!。何で泣く子と地頭には勝てぬなの?。」
教師:うん。それはね。このあとの3時間の授業を受ければ分かりますよ。
生徒:「ふーん」
教師:では終わりにしましょう。