年貢さえすませば・・・・・・C  天下布武


教師:今日は最初にちょっと復習問題をやってみようよ。・・ノートの最初の問題をやってみよう。

○室町時代は、60年におよぶ【@    】の内乱に始まった。貴族の荘園の【A    】の半分を取って良いという法律を出した室町幕府はこの内乱をおさめて再び日本を統一したが次の将軍をめぐる【B      】どうしの争い(=【C       】)をきっかけに崩れ、はてしない戦争の時代に入った。【B】や武士たちは激しい領地争いをくりひろげ町や村を焼き払ったので、商人や職人・農民たちは村や町を【D   】で囲み武器を持って【B】や武士たちと戦い、中には【E   】の力で【B】を追い出した国もあった。このように人々が力と力で争い、身分が下でも力の強いものが身分の上の者を倒す時代を当時の人たちは【F      】の世(=戦国時代)とよんだ。

(各自ノートの復習問題をやる)

教師:じゃあ、答えあわせをしよう。@の答えは?。

生徒:「南北朝!!!」

教師:いいね。・・じゃあAは?。

生徒:「年貢!!」「税金!!!」

教師:そうだね。年貢。税金でもいいね。・・じゃあBは?。

生徒:「守護!!」「守護大名!!!」

教師:そう。守護大名の方がいいね。・・・ではその守護大名どうしの次の将軍をめぐる争いは?。

生徒:「応仁の乱!!!!」

教師:そう。応仁の乱。・・じゃあDは?。

生徒:「堀!!」「塀!!!」

教師:そう。堀や塀だね。・・・ではEは何の力だ?。

生徒:「・・・・?」「武器!!!」「自治!!!」

教師:そう。自治の力が良いね。村や町を自分たちで治めてその力で守護大名などを追い出したのだからね。・・・ではこのように身分が下でも力の強いものが身分の上のものを倒す時代を当時の人は何の世と呼んだか?。

生徒:「・・・・・?。」

教師:あれっつ?。やらなかったかな?。

生徒:「やってないよ!!」

教師:じゃあ、教科書を開けてみよう。教科書87ページの下剋上の所。・・・ちょっと読んでご覧よ。

 こうして、室町幕府の支配力は、事実上失われていった。守護大名の家臣が、地侍や農民をしたがえて勢力をもち、守護大名の支配権をうばうことも多くなった。このように下の者が機会をうかがい、実力で上の者にとってかわることを、下剋上という。武士に限らず、農民や商工業者たちが社会の底から支配体制をゆるがした時代は、社会の変動期であった。

教師:じゃあ、さっきの問題の答えわかったかな?。

生徒:「下剋上の世!!!」

教師:そうだね。じゃあ今日は、・・・・(フリップをはりながら)・・・その下剋上の世である戦国時代について勉強しよう。・・・このフリップの文字、読めるかな?。

生徒:「読めない!!」「てんかふぶ!!」

教師:おっつ、すごい。意味わかるかい?。

生徒:「わかりません」(笑い!!)

教師:これはね、ある人がつくった言葉なんだ。・・教科書を開けてみよう。・・・教科書112ページ。

生徒:「あっつ、織田信長だ!!」

教師:そうだね。織田信長。

教師:この織田信長が「天下布武」という文字のはんこを使ったんだよ。この人にについて知っていることあるかな?。・・・はい。○○くん。

生徒:「はい。天下を統一しようとした人です。」

生徒:「天下って何?。」

教師:うん。天下っていうのはね、日本全体っていう程度の意味に取られているけれども、本来は、新しい権力者の下に、国が統一される時に、その統一された国全体のことを指す言葉なんだよ。

生徒:「っていうことは、天下布武って言葉は、織田信長が日本全体を新たに統一したいという気持ちを現しているんだね。」

教師:そう。そういうことだ。

生徒:「じゃあ、布武ってどういう意味?。」

教師:良い質問だね。布武の武は武力。布は、布を広げるように何かを広げてまとめあげると言う意味のことば。

生徒:「じゃあ、武力でもって日本をまとめるって意味なわけだ。」

教師:そういうわけだね。・・・じゃあ、問題をやってみよう。「織田信長は何を大事にしたのだろう」。

生徒:「えっつ何?」「わからないよ。」「はい。わかりました!!」

教師:はい。□□さん。

生徒:「はい。武力で日本を統一しようとした人だから、武器を大事にしたのだと思います!!」

生徒:「はい!」

教師:はい。@@くん。

生徒:「はい。今のに補足です。武器も大事ですが、それを使う人も大事ですから、彼は家来を大事にしたと思います!!」

教師:なるほど。・・・・はい。△△さん。

生徒:「はい。武器や家来をたくさん持つには、お金がいると思います。だからお金を大切にしたと思います。」

生徒:「はい!!」

教師:はい。■■くん。

生徒:「はい。お金を得るには武士は年貢をとる必要があるから、領地を大事にしたと思います。一所懸命です!!」(笑い!!)

教師:なるほど。一所懸命ね。・・・・他には?・・・・。皆良いところをついているよ。

生徒:「先生答えは?。」

教師:どれも正しいとは思うが、僕はこれじゃないかと思うのですよ。(資料を黒板に貼る)

生徒:「何これ?」「お金?」「お金だ!!!!」

教師:そう。お金だよ。永楽通宝。この時代に全国的に使われていた中国のお金。

生徒:「何で信長がお金を大事にしたと思うのですか?。」

教師:うん。良い質問だね。・・・それはね、彼はこの永楽通宝を彼の旗印にしたんだよ。

生徒:「旗印って?。」

教師:うん。その武将が誰かってことを示す旗でね、その陣地や軍隊の先頭に立てる旗なんだ。・・・その旗にはその大名の理想とか考え方が示されているんだよ。・・・・・この資料のように使ったんだ。(資料を黒板にはる)

生徒:「あった。あった。お金の旗が!!」「えっつどこ?」「ほら、右の上のほう」「うん、あった。」

教師:旗印が大名の考えや理想を示すのだとすると、信長がお金を大事なものと考えていたと言えると思うよ。

生徒:「なるほど!!」(爆笑!!)

教師:そこで問題です。織田信長はお金を何に使ったのだろう。・・・ノートに自分の考えを書いてください。

生徒:「こりゃ、簡単だよ!!」

(各自ノートに自分の考えを書く)

教師:では、みんなの考えを聞いてみよう。・・・・はい。¥¥さん。

生徒:「はい。全国を統一するには武器が要りますから、武器を買うのに使ったと思います。」

生徒:「はい!補足!!」

教師:はい。&&くん、どうぞ。

生徒:「はい。信長は鉄砲と言う新しい武器を使って日本を統一したのだから、その鉄砲を大量に買うためにお金を使ったと思います。」

教師:なるほど。鉄砲ね。・・・・・はい。◎◎くん。

生徒:「はい。武器も大事だけど、それを使う家来が必要だと思います。だから信長は、家来を雇うのにもお金を使ったと思います。」

生徒:「でも、家来って昔からいるんじゃないの。お金で雇わなくても。」

生徒:「でも日本全体を征服するにはたくさん必要でしょ。だからお金で雇う。」

生徒:「兵隊をたくさん欲しいときには、農民をどんどん戦争に連れ出して兵隊にしたんじゃないの。たしか足軽だったよね。」

生徒:「でも足軽ってお金がめあてだから、お金で雇ったんじゃないの。どうなの先生。」

教師:どちらも正解だな。・・・・国によって違うんだよ。日本の中でも。都の京都に近い方の国々は商工業が発展しているから農民なんかも農業で売れる作物を作ったりしてお金を稼いでいる。こういう地域の大名は足軽を集めるにはお金で集めるんだ。・・・でも商工業の発展していない地域では農民が稼ぐ場所は少ないんだね。それで農民を戦争に動員して、そのかわり戦争のわけまえを与えると言う形で、兵隊を確保したんだよ。

生徒:「じゃあ、信長はどっちだったの?。」

教師:信長の支配した尾張の国は京都にも近く、お米や綿が日本一の産地だし、綿織物や陶磁器や紙などの特産品もあった商工業の盛んな地域なんだ。・・・だから信長の地域では年貢も早くからお金で納めていたし、そのお金で信長は家来を雇っていたんだよ。

生徒:「ほら!お金で家来を雇ったんだ。」

生徒:「やとった家来って足軽ですか?。」

教師:足軽も雇ったけど、信長は武士もたくさんん雇ったんだよ。しかも戦でてがらを立てた武士への褒美も信長はお金だった。

生徒:「なんで土地をあげないの?。武士が欲しいのはお金じゃなくて、土地じゃないの?。」

教師:良い質問だね。みんなはどう思う?。・・・・はい□□さん。

生徒:「はい。家来に土地をやるには、他の大名の土地をとってこないといけません。だからたくさん家来を雇うにはたくさんの土地が必要で、それには戦争ばかりやらないとできないからです。」

生徒:「でもさ、信長って戦争ばかりしてたんだろ。全国を統一しようとしたんだろ。だったらどんどん土地を取れたんだからやればいいじゃん。」

生徒:「やっぱ、武器にお金がかかったんじゃないのかな。」

生徒:「うーん、よくわかんないな。」

教師:うん、これはもう少しいろいろなことを考えてみないといけないね。

生徒:「ところで、信長はお金を何に使ったのですか。家来をやとったり武器を買っただけ?。」

生徒:「他には何があるんだよ。」「それ以外にないじゃん。」

教師:いや、あるんだな。それが。

生徒:「えっつ、何?。」「わかんないよーーー」

教師:じゃあ、ちょっと教科書を読んでみようか。・・・教科書の88ページ。戦国時代の所だね。・・・だれか読んでくれる?。・・・はい。▼▼さん。お願いします。

【戦国大名】下剋上のなかで、守護大名はおとろえていった。かわって各地で独立し、家臣団を強化し、農民や商工業者を直接に支配して実力で勢力をひろげていった武将があらわれた。かれらを戦国大名という。

教師:織田信長はこの戦国大名とよばれる人なんだよ。他には武田信玄だとか上杉謙信だとか、いろんな人が各地にいたんだね。・・・次を誰か読んでくれる?。・・・・・はい、%%くん。

【戦国大名の領国支配】戦国大名は、荘園領主の支配をしりぞけて、治水工事をしたり、地域にあった産業をおこしたり、鉱山を開発したりして力をつけ、自分が支配する領国をつくりあげていった。戦いによってうばい取った領地には代官をおいて強い支配をおこなった。さらに、家法(分国法)という独自のきまりを定め、家臣や農民・商人のようすを監視し、下剋上のうごきをおさえようとした。

教師:つまり織田信長などの戦国大名とよばれる武将は、治水工事や産業をおこしたり、鉱山を開発するのにお金を使ったんだよ。そして戦争でうばいとった領地は織田信長と同じように、家来にやらず、自分の代わりにそこを納める代官をおくって納めさせ、年貢を集めさせたんだね。

生徒:「治水工事って何ですか?。」

教師:うん。川の流れを操作して、田畑に水を引いたり、田畑や村や町が洪水に襲われないようにすることを治水というんだよ。そのための工事だね。

生徒:「ということは、ダムを作るんだ。」

生徒:「昔の技術でダムなんかできるか。せいぜい堤防だよ。ね、先生。」

教師:いや、小さなダムならできるさ。・・・まあ中心は堤防を作ったり、用水路を作ったりということだけどね。

生徒:「鉱山を開発するって、金や銀や鉄を掘ったりすることですか。」

教師:そう、そのとおりだよ。

生徒:「地域にあった産業をおこすってどういうこと?。」

教師:いろいろあるけどね。・・・その地域の特産物なんかをもっと売れるものにしたり、その特産物を加工した製品などをつくれるように援助したり、その技術を学ぶために他の地方に人をやって学ばせたり、ということだね。

生徒:「戦争のためじゃなくて、こういう産業の発展のためにもお金を使ったなんて。知らなかったな。」

教師:普通戦国大名というと戦争ばかりしていたようなイメージだけど、違うんだね。

    じゃあ、最後の問題を考えてみよう。2つあります。一つは、「戦国大名が治水工事をしたり産業をおこしたり鉱山を開発したのは何のため」。

生徒:「これは簡単だよ。」

教師:もう一つは、「戦国大名が家法を作って家臣を監視したのはなんのためだろう」。

生徒:「これはむづかしい!!」「何かヒントないの?。」

教師:そうだね。・・・・・戦国時代ってどんな時代だったかを考えてみればわかるよ。

生徒:「どんな時代?。」「あっつ、わかった!!」「えっつ、わかったの?。」

教師:では、ノートに自分の考えを書いてください。

(各自ノートに自分の考えを書く)

教師:では、いいかな。・・・まず@の治水工事などの目的についていきます。・・・はい。◎◎さん。

生徒:「はい。これは自分の治めている国の人々の暮らしを豊かにするためだと思います。洪水を防いだり用水路を作れば農業が豊かになり、みんなの暮らしもよくなります。」

生徒:「はい。補足!!」

教師:はい。△△くん。

生徒:「それに産業が発達して行けば売るものも多くなり、農民も商人も職人も暮らしが良くなります。」

生徒:「もう一つ追加!!」

教師:はい。**さんどうぞ。

生徒:「はい。そうやって皆の暮らしが良くなれば、それだけたくさんの年貢を取ることができるから、たくさんのお金が入ってくると思います。そうすれば武器もたくさん買えるし、家来もたくさん雇えます。」

生徒:「なるほど!!」「この世は金次第だ!!」(笑い!!)

教師:なるほどね。国を豊かにすれば、それだけ年貢もたくさん取れてお金もたくさんもうかるってわけだ。・・・はい。##くん。何ですか。

生徒:「はい。それに金や銀を掘れば、それは直接お金になります。そうすればたくさんものを買えます!!」

教師:なるほどね。お金を直接作り出すってわけだ。・・・・じゃあAの問題のほうにいこうか。家法を作って家臣を監視したのは何のためか。

生徒:「はい!!。当てて!!」

教師:はい。■■さん。

生徒:「はい!!。戦国時代は下剋上の世ですから、家来だって力をつけて偉くなりたいと思っていると思います。だから主人の大名に反抗する者もいると思うのです。これを防ぐために法律を作ったのだと思います。」

生徒:「全部一人で言っちゃうなよ!!」「いいでしょ!!」

生徒:「まだあるよ!!」

教師:はい。$$くん。

生徒:「はい。家来の中にはごほうびの土地がたくさん欲しくて、敵の大名の味方をして主人を裏切るものいると思うので、それを監視するためだと思います。」

教師:なるほど。良いところに目をつけたね。・・・・教科書の分国法の中にこんなのがあるね。

十五、当家の城以外、国内に城を構えさせず、有力な家臣は城下に移らせ、その領地に代官をおくこと(越前・福井県の朝倉氏のもの)

教師:どうして大名の城以外には家来の城を作らせず、有力な家臣はみな大名の城のまわりに集めたのかな。

生徒:「はい!!」

教師:はい。@@くん。

生徒:「はい。城を持っているってことは、そこで主人に反乱起こされると大変だからです。だから城をつくらせず、家来は自分の領地に住まないで、そこには替わりの代官を置かせたんだと思います。」

生徒:「だったら、家来には領地なんかやらなきゃ良いじゃないか!!」

生徒:「そうだよね!!」

生徒:「あっつ、わかった!!」

教師:▼▼くん。何がわかったの?。

生徒:「信長が家来に領地をやらずにお金をやったわけがわかったのです。」

教師:じゃあ説明して。

生徒:「はい。下剋上の世で家来に領地をやると家来が大名より偉くなりたいと思ったりするととても危険だからです。お金だけなら、武器を買うくらいだけど、領地を与えてしまうと、そこに城をつくったりして、反乱されたらつぶすのが大変だからです。」

生徒:「なるほど!!」「そういうことか!!」「頭イイー!!」

生徒:「でもよ。武士って領地が命だろ。・・その命の領地をくれない人なんかの家来になるか?。」

生徒:「地獄の沙汰も金次第だよ。金さえあれば何でも買えるよ!」

生徒:「でも武士の夢の、大きな領地を持った大名になるっていう夢は実現できないよ。」

生徒:「なるほど・・・・?。」

教師:おっつ!!良いところに気がついたね。・・・まあ、この問題はまたあとで時間があったらやることにしよう。・・・信長がなぜ家来に殺されたかを解く一つの鍵なんだよ。今の問題は。

生徒:「へーーーっつ!!」

教師:まとめていえば、戦国大名は家来の反乱を防ぎ、国を豊かにするために産業を発展させたってことだね。

生徒:「ということは、すごく暮らしやすい国になりますね。争いもなくて」

生徒:「平和になるってことだ。」

生徒:「いいね!!」

教師:うん、そうだね。・・・・じゃあ、終わります。まとめ問題は自分でやっておいてください。


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