<黄金の島・ジパング>@「海の向こうへ」


教師:この単元で学習するのは、「鎖国」ということです。「鎖国」と聞いて、どんなことなのか説明できますか?。・・・・はい。○○くん。

生徒:「はい。外国との貿易をしないことです!。」

教師:なるほど。・・・・・他には?。・・・・××さん。

生徒:「はい。キリスト教が日本に広がらないように、外国との貿易を禁止した事です。」

教師:なるほど。・・・理由も説明してくれたね。・・・・他にはあるかな?。・・・では、この二人の説明であっていると思う人?。(ほぼ全員)・・はい。全員間違いです(「えーっつ」という歓声)

生徒:「あっつ、そうだ、わかった!!」

教師:はい。△△さん。

生徒:「貿易を禁止したのではなく、制限したのが正しいと思います。」(「あっつ、そうだ!!」の声)

教師:そうです。それが正解。・・・鎖国と言うとすぐに貿易や外国との付き合いを禁止したことのように受け取り勝ちですが、そうではなく、実際は制限したことなのです。

生徒:「でも、理由は、幕府がキリスト教が日本に広まる事を嫌ったからでしょ?。」

教師:うん。それも正解ではあるが、それだけではないようです(「へえーっつ」の声)。今回はこの鎖国について詳しく学習していきたいと思います。では最初に資料を配ります(資料@「これは何だろう」を提示する) 

教師:これは江戸時代のある場所の地図なんだよ。

生徒:「長崎勝山町豊島屋って書いてあるよ!」

教師:うん。これは、この地図をつくって売った人の名前なんだ。・・・じゃあ地図の解説にそって見ていこうね(@からMの順で見て行く)・・・さて、これはいったいどこで、何をする所なのか、わかったことをノートに書いてみよう。

(各自ノートに気がついたことを書く)

教師:じゃあ、ここはどこなのか?。わかった人!!・・・・・はい。■■さん。

生徒:「長崎の出島町です。」

生徒:「なんでそんなことがわかるの?。」

生徒:「地図の中に書いてあるじゃん。」

生徒:「えっつ、どこ?どこ?。」

生徒:「真中の道路の所に書いてあるよ!」「あっつ、ほんとだ!!」

生徒:「出島橋ってのもあるよ!!!」「あっつ、ほんとだ!!」

教師:そうですね。正解。・・・長崎の出島です。・・・・じゃあ、この島には誰が住んでいるんだろう?。・・・・はい、○○くん。

生徒:「オランダ人です。」

生徒:「何でそんなことわかるの?。」

生徒:「オランダの国旗があるだろ。Eの所の広場に。」

生徒:「あっつ、ほんとだ!!!」

生徒:「オランダの役所っていうのもHにあるよ!!」

教師:そうだね。正解。オランダ人が住んでいる。・・・・ほかにもオランダ人が住んでいる証拠があるね。・・・はい。××くん。

生徒:「Cの公園と菜園にレタスやブロッコリーなど西洋野菜が作られています。」「カーネーションもあるよ!!」

教師:そうだね。・・・はい。△△さん。

生徒:「はい。@の掲示板にオランダ人の外出も禁じられていると書かれています。」

生徒:「まだあるよ!」

教師:□□くん。何ですか?。

生徒:「はい。Lの牛小屋とブタ小屋です。」「なんでそれがオランダ人がいる証拠なの?。」

生徒:「江戸時代の日本人は仏教の教えで肉を食わないだろう。」「えっつ、そうなの?。」

教師:そう。良く知っているね。食べて良い肉は2種類なんだ。

生徒:「魚!!!」「鳥!!!!」

教師:そう。良く知っているね。・・・日本には昔から牛や馬はいたけど、けして食べるものではなかったね。

生徒:「乗り物!!!」「物を運ぶ!!!」「畑を耕す!!!」

教師:そうだね。そして、ブタという動物や日本にはいなかったんだ。まして食べる事などしなかったんだね。・・では、次の問いに行こう。・・・オランダ人はここで何をしているの?。・・・・はい。◎◎さん。

生徒:「貿易です!!!」

教師:どうしてそうわかるの?。

生徒:「Gに商館長の公邸ってあるから、商売をするんだと思いました。」「荷物を船から運び上げる場所もあるよ!!」

教師:そうだね。貿易をする所だね。・・・ところで江戸幕府はここでの貿易を制限したのだが、制限したって証拠がこの絵の中にないかい?。

生徒:「@の掲示板!!!」

教師:なんで?。

生徒:「日本人は許可なくはいってはいけない。オランダ人の外出も禁じられているって書いてある!!」

教師:そうだね。・・・この許可って誰の許可?。

生徒:「将軍!!!」「幕府!!!」

教師:そうだね。正解。幕府の許可を得た人しかここでオランダ人と貿易できないようになっているんだね。・・ほかにも貿易が制限されているって証拠があるかな?。

生徒:「日本人の役人が見張ってる!!」「橋が一つしかない!!!」「まわりが海!!!」

教師:そうだね。こうして江戸幕府は長崎でしか貿易を許可しなかったんだね。・・・所でこの長崎で貿易を許可された外国はもう一つあるんだよ?。日本と古い付き合いのある国だ。

生徒:「あっつ、中国だ!!!」

教師:そう。中国。当時は清と言ったんだね。・・・・資料集のp86に資料がある。そこの「唐人屋敷」を見てご覧。

教師:ここには中国人が住んでいたわけだけど出いりが厳しく制限されているだろ。

生徒: 「入り口が1箇所」「門番がいて身体検査されている」「2重の堀で囲まれているよ!」

教師:そうだね。ここは長崎の町の中にあるんだけど、出島と同じように出入りが制限されているんだね。ほかにもいろいろ制限があるんだ。資料集の同じページに、オランダと中国の貿易を説明した表があるね。これをじっくり読んでごらん。

(表「オランダ・中国との貿易」)

生徒:「船の数も制限されているね」 

教師:そう。その通り。オランダが年に10隻。中国は年に192隻が最高だね。

生徒:「外出も制限されていたんだ。」

教師:そう。年に数回だね。ただ中国人のほうが制限が緩やかなんだね。・・・・・いいかな。鎖国ってどういうことかわかったかな?。・・では、次の問題に移ろう。・・問い、「幕府は最初から貿易を制限していたのか?。自分の考えを書いてみよう。

(各自ノートに自分の考えを書く)

教師:では、どうだろう。・・・みんなに聞くよ。・・「最初から貿易を制限していたと思う人!」(数人手を挙げる)「最初は貿易の制限はしていないと思う人!」(たくさん。手を挙げていない生徒も多数。)・・・・なんで制限していたと思いますか?。□□くん。

生徒:「はい。外国と付き合うのが何か危険だというのが鎖国だと思うから、最初からそうしていたと思いました。」

教師:なるほど。何か危険があるのだから最初からそうだというのだね。・・・じゃあ、最初は制限していないと思ったのはなぜか。◎◎さん。

生徒:「はい。外国と付き合うのはいろいろ珍しい物を手に入れてもうけたり、外国の文化や技術を学ぶためだと思います。それは必要なことなので最初はやっていたと思います。でも途中で何か問題が起きて、制限をしたのではないかと思ったからです。」(「なるほどー」の声)

教師:なるほど。何か問題が起きたから制限したね。・・・・じゃあ、 ちょっと資料集のp80の年表を見てみようよ。

西暦 政治・経済・社会
1603

1609

1613

1614
1616


1623
1624

1633
1635

1637
1639
徳川家康が征夷大将軍になる。
朱印船貿易が盛ん
オランダと平戸で貿易開始
薩摩藩が琉球征服
キリスト教の禁令を全国に拡大
イギリス船が平戸に来航
大阪冬の陣
大阪夏の陣(豊臣氏が滅びる)・武家諸法度を定める


徳川家光が3代将軍となる
スペイン人の来航を禁止

特定に船以外の海外渡航と外国居住の日本人の帰国禁止
外国船の来航を長崎出島に限る
日本船の海外渡航と帰国の禁止
島原・天草一揆(島原の乱)
ポルトガル船の来航を禁止(鎖国の完成)

(年表)

教師:徳川家康さんが征夷大将軍に任命されて江戸幕府を開いたのはいつだ?。

生徒:「1603年」 

教師:そうだね。このころは貿易制限していた?。

生徒:「していない」「朱印船貿易というのをやっていると書いてある」

教師:そうだね。じゃ、最初に貿易を制限したのはいつかな。

生徒:「1639年。鎖国完成と書いてあるよ」 

教師:それは鎖国の完成だね。最初にどこかの国の船が来る事を禁止したのはいつ?。

生徒:「1624年」 

教師:どこの国?。

生徒:「スペイン」 

教師:そうだね。1624年にスペイン船の来航を禁止し、それから海外に行っていた日本人の帰国を禁止したり、ポルトガル船の来航を禁止したり、日本人の海外渡航を禁止したりして、鎖国は完成したわけだ。

生徒:「何か問題があって途中で制限していったんだ。」

教師:そうだね。最初は貿易を積極的にやってたんだね。その資料を配ります(資料A「江戸幕府初期の外交」を配布する)

 <黄金の島・ジパング>資料A 「江戸幕府初期の外交政策」
  1. 朱印船貿易

  ○徳川家康は貿易をしたいものに下のような朱印状を与えた。

   ○1601年に家康が安南(ベトナム)や呂宋(フィリピン)に送った手紙

    「このたび自分が日本を支配するようになった。これからは平和になるので安心して

    商売することができる。ついては日本からの貿易船には朱印を押した文書を持たせる。

    その朱印状を持たない船には貿易をゆるさないでほしい」

  ○朱印状をもらった人(105人)

   ・大商人(京都の茶屋四郎次郎・角倉了以・大阪の末吉孫左衛門・長崎の末次平蔵ら)

   ・九州の大名(島津家久・加藤清正・有馬晴信ら)

  ○貿易品

   ・輸出:銀・銅・硫黄・鉄・刀・扇子・屏風など

   ・輸入:中国産の生糸

 2.日本町のにぎわい

  ○日本町全体で1万人ほどの人口

       (マニラ:3000人 アユタヤ:1500人)

  ○自治が許され日本人の長がいて指図していた。

  ○どんな人が住んでいたか

    ・貿易で利益をあげようとした商人や商人の雇い人

    ・大名がつぶされ失業した武士やその家族

    ・キリスト教を禁止され日本を追放された人

    ・外国で活躍して大金持ちになろうとした人

    ・外国に兵士として雇われた人

教師: そこに家康が出した朱印状がある。何と書いてあるか読めるかな。(漢文を版書し、レ点や返り点を教え、読んでみる)・・・日本国より安南国にいたる船なりと書いており、左の端に発行した月日と家康のハンコが押されている。本物はハンコの色が朱色。

生徒:「だから朱印状」というんだ。 

教師:そう。その通り。そして朱印状の意味はそこにある、徳川家康がルソン(フィリピン)総督に送った手紙を読めばわかる。(みんなで読む)

教師:そこに「朱印状を持たない船」には貿易をさせないで欲しいって書いてあるが、その「朱印状を持たない船」ってなんだと思う?。

生徒:「・・・・・・・・・・・・?。」「わかった!!海賊だ!!」「倭寇!!!」

教師:そう。その通り。朱印状を使って倭寇と区別し、貿易の安全をはかろうとしたんだね。・・・・そしてその朱印状をもらったのはそこに書いてある105人だそうだ。

生徒:「大名ももらっていたんだ。」

教師:そう。大名も貿易をしていたんだね。ただしこれは、朱印状をもらって貿易船を仕立てた人。同じ人が何隻も船を出すし、一隻の船には400人ぐらい乗っていたというよ。教科書のp120にその絵と地図があるよ。

教師:船の大きさは、マストの上に乗っている人の大きさでわかるね。

生徒:「すごいね」 

教師:うん。すごい。大きいね。そしてこの船は、ヨーロッパの船と中国の船とのそれぞれの良い所を取り入れて作った、優れた性能の船だったそうだよ。

生徒:「へえーっつ!!」

教師:そしてね、ただ外国に行っただけではなく、そこに住んで商売する人も現れ、各地に日本町が出来たわけ。教科書の左の地図がそれだね。・・・・そしてその日本町の特色はさっきの資料に書いてある。・・・・・・・・・・・そして中には外国の王様になった人もいる。山田長政というんだ。知ってる? 

生徒:「知らない!!!」

教師:この人は静岡のお茶やさんの子どもだったのだけど商人になりたくなくて船にのってタイに渡ったんだ。そこで日本町を守る軍隊の司令官になったんだね。

生徒:「商人のくせに?」

教師:そう。結構戦好きだったらしい。日本人の軍隊は鉄砲で装備されているので強い。敵の多かったタイの国王に頼まれ、王のために闘い、大勝利を得たそうだ。喜んだ王は長政の妻として自分の妹を与え、領土の一部を治めさせたんだ。

生徒:「ふーん。すごいね」 

教師:こんな人がほかにもたくさんいたそうだよ。

生徒:「じゃ、なんで急に鎖国なんかしたの?。ずいぶんもうかっていたわけでしょ」「なんか問題があったんじゃないのかな?」

教師:良い質問だね。じゃ、最後にこの問題を考えてみようか。『なぜ幕府は外国とのつきあいかたを変えたのだろう』

生徒:「難しいよ!!!」「わかんなーい!!!」(何人かはせっせと自分の考えを書いている)

教師:そう。難しいね。でもなんか問題があったからだということはわかるだろ。ではどんな問題があって幕府は鎖国をすることになったのか。これが今回の学習のテーマだ。・・・自分の考えがある人は、あとで書いておいてください。・・このあと何時間かかけてやっていって、答えられるように   したいと思います。 ・・・・・・じゃあ、最後にまとめの問題をやろう。(各自問題にとりくむ)

○まとめ

 成立したころの幕府は【 @ 】を積極的に進め、【@】をしたい者には

【 A 】を与えて保護した。そのため日本の商人は海外に進出し、東南

アジア各地に日本人が住む【 B 】も出来た。

 その後、江戸幕府は【@】を制限し、場所は【 C 】だけとし、相手国

は【 D 】と【 E 】とに制限し、その国の人々が住む場所への出入り

も制限した。

教師:では、いいかな。・・・・@は何?。

生徒:「貿易!!!」

教師:うん。正解。・・・ではAは?。

生徒:「朱印状!!!」

教師:そう。正解。・・・じゃあBは?。

生徒:「日本町!!」

教師:よし。正解。・・・・ではCは?。

生徒:「長崎!!!」

教師:いいね。正解。・・・・ではDとEは?。

生徒:「オランダ!!!」「中国!!!」

教師:そうですね。・・・・では、今日の授業は終わります。


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